感情と理性が対立してしまう謎
激情が理性を凌駕してしまう。
これは人間の脳の基本構造に由来します。
そもそも、私たちが普段から意識している「心」とは脳の機能の一部です。
脳の進化の歴史
何百万年に渡る進化の歴史の中で、脳は建て増しする形で発達してきました。
大まかに、脳幹(生命維持機能)→大脳辺縁系(感情機能)→大脳新皮質(思考機能)という順番で脳が進化していきました。
このように、思考する脳が生まれる何百年も前から、感情機能の脳は存在していました。
そのため、感情機能を持つ脳は、思考機能を持つ脳に対してあちらこちらにつながる無数の回路を持っています。
このような神経回路の構造から、感情(情動)は脳全体の働きに対して、とてつもなく強い影響力と決定権をもっているのです。
普段の私たちの脳は、感情機能を持つ脳と思考機能を持つ脳で、両者でバランスを取りながら理性的に考え行動をしています。
しかし、何か緊急事態が起きた時など、強い情動が起こると両者のバランスが崩れてしまいます。
先述した脳の神経回路の構造から、感情機能を持つ脳がすべての脳の機能を圧倒してしまいます。よって、知性が反応するより一足早くに感情面が反応してしまいます。