般若心経はなぜ多くの人に愛され続けているのか
般若心経の考え
般若心経ではものごとのすべては、「空」・「無」であるということを基本としています。
あらゆるものの実在を否定し、その先にある”心の自由”を示しています。
「色即是空」、「空即是色」、「諸行無常」をはじめとした、このバッサリと切り捨てる潔さが、執着から苦しんでいる自分がばかばかしく思えてきて、気持ちが吹っ切れるヒントになる。
これが私たちを魅了する1つの理由ではないでしょうか?
・般若心経の魅力1 「色即是空」
この世に存在する物質的な存在、私たちが日々感じる感覚、感情、行動、知識など、すべては「無」・「空」であるという考えであり、存在しないとされています。
「存在しない=実体のないものに執着することには意味なく、ただ苦しみを募らせるだけである。執着をしなければ、心が乱され煩悩をいただくこともない」と説いています。
・般若心経の魅力2 「空即是色」
色即是空では、すべては「無」・「空」であり実在しないと説いています。
すべてが「無」・「空」であるということは、それらが固定的なものではなく、常に変化し、新しい形を取ることができるということを示しています。
よって、「無」や「空」であるからこそ、私たちは自分自身の可能性や、未来の可能性を広げることができるという、私たち一人ひとりに秘められている無限の可能性をも同時に説いています。
・般若心経の魅力3 「諸行無常」
常に一定のものは存在せず、全てのものは常に変化していく。
あなた自身も変わっていくし、他人も変わっていく。つまり、変化が常に起こっています。
過去の成功や幸運は永遠に続くわけではなく、同様に苦難も永遠に続くわけではない。
時間が経つにつれて、全てのものは変化する。繁栄していたものが衰え、逆に苦難から抜け出すこともある。
したがって、全てのことを固定的に捉えてはいけないと説いています。
・般若心経の魅力4 「一切皆空」
般若心経には「一切皆空(いっさいかいくう)」という言葉があります。
この言葉は、すべてのものは無常であるということを表しています。
何かを手に入れたり、喜びを感じたりすることもあれば、失ったり、悲しみを感じることもあります。
しかし、般若心経は、そうしたことがすべて無常であることを教えています。
何かを手に入れたり、失ったりすることに執着するのではなく、今を大切にすることが大切と説いています。
・般若心経の魅力5 「無苦集滅道」
すべてが「無」・「空」であるから、「苦しみも、苦しみの原因も、苦しみを滅することも、苦しもを滅するための方法もない。」とも説いています。
般若心経では空や無を強調しているが、決して虚無思想ではありません。
むしろ反対の積極思想であります。
「無」・「空」だからこそ、多様な現象を生み出すことができるといった、生きることを積極的に肯定する考え方を説いています。
般若心経が単に生きることの虚しさを説くものであれば、日本人にこれまで長く愛され続けることはなかったでしょう。
そこに楽天的な考え方が示されているからこそ、私たちは般若心経に魅力を感じてきたのである。
このように般若心経の教えは、現実的でありながら、私たち一人ひとりの可能性を訴えかけたものであり、温かさを感じられます。
般若心経を読むことは、自己省察につながることがあります。
経典の内容を読み解きながら、自分自身と向き合い、心の浄化につながるとされています。